貫地谷 早希×廃墟

2024.4.3

廃墟に残る小さな栄光
貫地谷 早希

筆者:中居
文字数 465 写真 9 枚

嘗て多くの人々の熱や声を見守ってきた建物達も
時代の変化と共に忘れ去られ放置されいつのまにか朽ちていく
荒廃した状態になればなるほど人は近寄らず自然と怖さを・・・

荒れ果てた廃墟の中に立ち込める朝霧
静寂が支配するその場所に
かすかに花の香りが漂う

風が運ぶのは忘れ去られた思い出のかけら
優しく触れれば崩れ落ちる古い壁
その壁には誰かの笑顔が刻まれていた

女性の足跡が廃墟の中を彩る
夢見る乙女の幻影が舞い踊る
どこか懐かしい記憶が心を掻き立てる

錆びついた鉄の塊が見せるのは
かつての栄華の名残りと共に
彼女の涙の痕跡が刻まれている

草木が生い茂る廃墟の庭園
彼女の手が植えた花々が咲き誇る
美しい昔の面影が残るその場所で

彼女の姿は風に揺れて
消え入りそうな存在になる
しかし、その心は永遠にここに留まる

廃墟の中で彼女は見つける
過去の自分と向き合う勇気を
再び芽生える希望の光を

貫地谷 早希さんのページはこちら